たこしょうかい

お初にお目にかかります、たこです。
私はもともと瀬戸内海出身なのですが、たまたま拾った某浮世絵師の作品に感銘を受け、着の身着のまま身一つで蛸壺に乗り込んだのでこざいます。さて、人界に入り込んだはいいがどうやっておまんま食べていこうということになりまして、何しろこんな見てくれですから、蛸足を棒のようにして就職活動しましたが、雇い手なんてありゃしません。仕方がないので最近流行りのあふぃりえいとなるものに触手を出して見ようかと思いまして。幸い八本も手足がありますので鍵盤弾くのはわけありません。これでいくらかお銭がはいればカニカマでもってなんとか暮らしていけるのですが。にっちもさっちもいかなくなれば魚屋に身売りするしかございません。世の中一寸先は蛸墨のごとき闇、果ては寿司屋かたこ焼きか。どうせならおもしろおかしく生きていこうじゃありませんか。ねぇ。